祝!生誕80周年「すぎ去りし日の…」「サン・スーシの女」Blu-ray&DVD発売!!

ロミーアップ

 

ロミーのキャリアでも最重要な作品が2本、心ある発売元さんから今月発売されます。

しかも日本では初のデジタル(DVD/Blu-ray)化となります。

 

Blurayすぎ去りし日の

  
「すぎ去りし日の…」(Blu-ray)(DVD)


過去との絆(息子や友人、かつての自宅や幸せな記憶)に情が波立ち、若い愛人(ロミー)との新生活にきっぱりとは踏み出せないでいる中年男(ミシェル・ピコリ)の逡巡、そんな彼の意識を寸断する凄まじい自動車事故……


「すぎ去りし日の…」は1969年製作、クロード・ソーテ監督とロミー・シュナイダーの初コンビ作品です。ロミーは本作で演技派としての名声を確立したわけですが、ストーリーを説明してもつまるところ「世間のどこにでも転がっている話」(原題の Les Choses de la vie を極端に意訳するとこうなります)にすぎないのに、観はじめると目が離せなくなるのは、詩情すらたたえた交通事故のリアルな描写ゆえでしょうか、はたまたロミーやピコリの精緻を極めた名演ゆえ?

 

PHすぎ去りし日の


スタッフ、すなわちソーテ監督のほかレイモン・ダノン(製作)、ジャン=ルー・ダバディ(脚本)、ジャン・ボフェティ(撮影)、フィリップ・サルド(音楽/本作が映画デビュー)が集結したのは実はこの映画が最初で(つまり既存のソーテ組にロミーが参加したわけではない)、その意味でもここから「何か」が始まった作品と言えるでしょう。この「チーム」は1970年代フランス映画の本流を形成することになります。


それまでノワール系の映画作家と目されていたソーテが初めて愛というテーマを扱ったこの作品は、地味ながらもクラシカルな香気をはなつ傑作と評価され、フランスでは299万人が劇場に押し寄せました(1970年の興業成績第7位)。そして「お姫さま女優」と思われていたロミーが、かくまで市井の現代女性の心の機微を表現できる実力派へと変貌したことに世間は驚嘆しました。

 

DVD サンスーシの女

 

「サン・スーシの女」(Blu-ray)(DVD)


パラグアイ大使館に乾いた銃声がとどろいた。大使を殺めたのは不可解なことに人権団体の議長マックス(ミシェル・ピコリ)だった。妻リナ(ロミー)へマックスが静かに語りだしたその動機、秘密の過去とは? そして裁判の行方は……


「サン・スーシの女」は1981年製作、ロミーの遺作です。本作はロミー自身の企画となる生涯唯一の映画であり、プロデューサーは「すぎ去りし日の…」同様レイモン・ダノン、共演は同じくミシェル・ピコリです。


ロミーの意識としては「離愁」「追想」と同じ水脈の、ドイツ(ナチス)を「告発」する映画だったはずですが、「サン・スーシの女」はそのキャリアにしかるべき位置を占めるというより、大河が支流を引き寄せるようにロミーの人生そのものを呑みこむ作品となってしまいました。ロミーの演技はいつものとおり表出力が極めて強く、観客の意識にくっきりと役柄(本作では2役)の内面を喚起する名演ではあるのですが……

 

PH サンスーシの女

 

 

ところで、ロミーはサントラ音楽にも恵まれた女優で、とりわけその後半生ではヨーロッパの名だたる作曲家が彼女の出演シーンに忘れがたい旋律を献じています。わけても「すぎ去りし日の…」(音楽/フィリップ・サルド)と「サン・スーシの女」(音楽/ジョルジュ・ドルリュー)はテーマ曲が歌唱された珍しいケースにあたり、それぞれの脚本家(ジャン=ルー・ダバディ、ジャック・キルスネル)が作詞を担当しています。


「サン・スーシの女」はエンディングで歌手タリラの歌う「亡命の歌」が、あたかもロミー自身へのレクイエムのように流れますが、「すぎ去りし日の…」のほうは公開に合わせたプロモーションの一環で主演コンビが主題歌「エレーヌの歌」をレコーディングしています(映画には使われていません)。後日のテレビショーで披露された生歌を、最後にご紹介しておきます。

 


 

(この項文責=佐々木秀一/Blu-ray版「サン・スーシの女」の解説を執筆しています)

 

 

JUGEMテーマ:外国映画の女優


コメント
本当にうれしい限りです。
「すぎ去りし日の・・・」は、「ニコライとアレキサンドラ」の2本立てで見ました。地方では、封切りでも2本立ての時代でした。まったく期待せずに見て、あまりの美しさに圧倒されたことが昨日(?)のようです。「すぎ去りし日の・・・」のサントラLPがあることを雑誌で知り、手に入れるまでに10年かかりました。主題歌は仏語だけでなく、独語、イタリア語ヴァージョンがシングル盤でそれぞれ発売されていました。「サンスーシの女」のロミーは、燃え尽きつる直前の最後の輝きのようで、痛ましいけれど美しい。ロミーは永遠にスクリーンの中で生き続けています。
  • イッチ
  • 2018/07/14 10:21 PM
スクリーンでご覧になったのですね。それは素晴らしい!昔は地方にも名画座があり、それぞれの館に特色を打ち出していて良い時代でした。やっぱり映画は大画面で見てこそですものね。
「サン・スーシの女」はプライベートとオーバーラップする部分が多くて涙なしには見られません…。少年と同じ年頃の息子を失った彼女の危うさすら感じるはかなくも美しい演技が胸に迫り…。ロミーを語るうえで欠かせない2作が、生誕80年の今年デジタル化されたのは非常に喜ばしいですね。
  • KT
  • 2018/07/16 3:24 PM
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「Clair de femme」とは、フランス語で「女の輝き」を意味する言葉。ロミー主演映画のタイトルです。謎と悲劇に満ちた生涯を送りながら、スクリーンでは常に美しく輝いていたロミーに捧げるブログです。

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本の宣伝担当。ものぐさダンナの代わりにブログ&サイトの運営をしています。

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